おじいちゃんの記憶

個展をはじめる少し前から、子どもたちに変化が現れています。

「おじいちゃん」という言葉が、会話の中で増えているのです。父が亡くなったのは6年前ですから、長女が4歳と長男が1歳、次男はまだ生まれていませんでした。今日はその次男でさえ、あのシルエットがおじいちゃんだとポスターを指差して、見知らぬお客さんへ説明しているのです。お姉ちゃんは「悠々庵」でおじいちゃんにもらっていた美味しい金平糖と紅茶を、弟たちに自慢しています。おばあちゃんには内緒だったと、いたずらっぽく説明を付け加えていました。

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親戚が集まる七回忌法要に父の遺品を飾ってみよう。そんな「ちょっとした思いつき」から今回のギャラリー展示は、手作りで始まりました。

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飾りながら、父の気持ちになって考えてみたいと思いました。癌の痛みが辛かったと思うので、早く楽になりたい気持ちはあっただろうと想像します。65歳の若さでこの世を去っていくのは悔しかったでしょう。みんなと楽しむためのアトリエも完成したばかりでしたし、孫の成長ももう少しながめていたかっただろうと思います。

父が思っていただろうことを、父がこれからやろうと考えていただろうことを、僕が引き継ぎ、夢をふくらませ、この手で実現し「かたち」にする。

そんな自分勝手な考えで、この個展を計画し実行しました。

子どもたちが「おじいちゃんを語る」効果は、あまり考えていなかった成果です。

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昔から人は二度死ぬと言われています。一度目は肉体が死ぬ(魂が抜ける)瞬間、二度目は人々の記憶から消える(忘れ去られる)瞬間。

語り続ける中で、人は何度でも生き返る。

今回の個展を通して、僕はこのことを実感しています。

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