相互監視

日本一高い山を聞かれ、富士山と答えられない日本人は居ません。

日本三名園、優れた景勝を持つ三つの日本庭園、金沢市の兼六園、岡山市の後楽園、水戸市の偕楽園です。西日本の人なら最初に兼六園、東日本の人は偕楽園が最初に思いつくのではないでしょうか。「日本三大ほにゃらら」って、いろいろありますね。最初の2つは直ぐに思いつきますが、3つ目って本当はどれってなりがちです。自称で3つ目だと言ってるものって全国に沢山あります。

さて、あなたは三師会って聞いて、どの職業を考えるでしょうか。お医者さんの医師会はすぐに思いつきますね。そうそう、歯医者さんは別カテゴリーで歯科医師会、あと一つは何だっけ?看護師かな、薬剤師かな?最近では四師会なんて言葉もあるくらいですが、それぞれが独立して機能しているとは言いにくいです。

どこかの山に属した山は、その一部と考えられます。

自ら頂きに立っているのかどうか?独立した職能かどうか?2025年問題を抱える日本で、国民の利益のために働いてくれる職能こそ、国民が欲しいと願い、選び残し育てる専門職だと思います。

現状をみると現在独立した医療職能を考えれば、医師、歯科医師、この二つしかありません。それ以外の看護師や薬剤師って日本では、存在がコメディーな医療カルチャー(コメディカル)です。

この権力の集中が何故起こるのかと言うと、「法律の解釈問題」と介在する「企業による下請け関係」が存在するからです。これらが権力の分立を阻む原因となっています。

平成が始まった頃から、政府誘導の任意分業システムは開始されました。薬品卸問屋出身のオーナーが処方を出す医師へのリベートを条件に、病院の前に薬局を作っていきました。そこに雇用されるサラリーマン薬剤師は、医療保険での処方箋収入しか見てないので、医師の下請けテクニシャンでしか無いなのはあきらかな事実ですが、その問題点を議論する場が何処にもありません。門前薬局経営者が役員の多数を占める日本薬剤師会が問題定義するはずも無く、公益社団法人としては医療費削減に対しても無策です。もっと悪いことに最近では小さなチェーン店の買収が進み、利益のためには手段を選ばない大企業が医療保険という市場を牛耳るまでに成長し拡大しています。

もう一つの問題である法律の解釈について、詳しく話していきましょう。明治維新により医制が導入された当初は、医師の調剤が認められていませんでした。もちろん薬剤師の診断も認められていません。人的ミスを限りなくゼロにするため、同一人に寄らないクロスチェックを実現するための制度でした。当たり前ですが、医師は薬学を収めておらず、薬剤師も医学を収めていません。仮にダブルライセンス保有者が居たとしても、異なる二人によるダルブチェック(クロスチェック)がエラー防止に有効なことは、容易に理解していただけると思います。

それが昭和23年の医師法第22条歯科医師法21条により、強制分業を事実上中止してしまいます。医療保険を有効に活用し「利益に繋がるクスリ」の大量販売を、メーカーから洗脳された医師単独で横行できる制度の始まりでした。薬剤師法19条にも例外規定(但し書)を設け、国際標準的な完全分業からかけ離れた任意分業システムが日本で始まりました。行き過ぎた医療にブレーキをかけるチェックマンを失くした国家の誕生。その結果が少子高齢化に悩む現代日本の姿だと思います。医療依存への抑制効果に、29万人いる薬剤師を活用する日はくるのでしょうか。

薬学は何のためにあるのか?

医学は何のためにあるのか?

公衆薬学という学問は、臨床医学と対峙する疫学(衛生学)のことを言います。その目的は疾病を予防し、健康を保持増進し、人としての肉体的、精神的、社会的能力を最高度に発揮させることにあります。そのために自然科学を学び、固有の地域社会に適応する公衆衛生の知識を習得する事が必須です。もちろん、法律、歴史、民俗学、様々な分野で深い知識を必要とします。

公衆衛生学的に正しいことを選択しようとすれば、臨床家(医師)が患者個人を対象とするのに対して、人間集団を対象として考える必要があります。ヒトの病気や死などを単に生物学的現象としてだけではなく、環境や社会との関連で考えて、地域の民度を高める必要があります。究極的には「人類のより良い未来」「地域社会のあるべき姿」を想像する力も必要となっていきます。

風邪で医療機関を受診した患者に抗生物質(抗菌薬)が処方された割合は、2017年度で奈良県が最も高く49%、最も低い福井県では26%でした。全校平均は36%で、地域差がとても目立ちます。

「念のために公費で抗生剤を出しておきましょう」

こんな医師の提案が誰のチェックも受けずレセプトで請求できるのです。意見すべき保険薬剤師は、1枚でも多くの処方箋欲しさに黙秘を決めています。そもそも湿布や目薬、漢方といった保険適応すべきでない「薬局医薬品(処方箋外医薬品)」に関しても、医師のさじ加減一つで請求がまかり通るのです。

末田薬局が薬剤師の医療判断で「薬局医薬品」を販売する理由がここにあります。

悪意のある人から突っ込まれれば、零売(薬局医薬品の販売)は行政指導の可能性があるように保健所は言います。あくまで処方箋によるものを基本にしてくださいと、行政職員から忠告されたこともあります。
検体測定室がある薬膳カフェでの「クスリ販売授与行為」と間違えられる可能性があるので、薬局以外の場所で行うワークショップは注意が必要だとも言います。
しかしながら、零売を禁止する箇所は厚生労働省医薬食品局長からの通達にはなく、薬膳カフェでの勉強会や健康アプリでの顧客対応は、薬局カウンターで行うナンチャッテ指導よりとても効果的だと感じています。

薬剤師への処方監査の責任追及と権限委譲は、医療改革へむかうなかで避けては通れない関門です。
セルフメディケーションの推進、薬機法改正に伴う投薬後指導の充実。薬物適正使用を前に進めるチャンスは、これからもっと広がります。
裸の王様である医師会、太鼓持ちでしかない薬剤師会。未来に生きる日本人のため、見えない敵と戦える「新しい組織づくり」を僕は始めています。

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